「−っ…」
俺の体を跨いで立っている一人の人間。
白いコートに黒いブーツ。
腰には交差した赤と青の二本の鞘があった。
赤い鞘の刀が抜かれている。
この姿は…和乃隊長……?
「申し訳ありません
悪いと思いながらも、お二人の後をつけていました。」
隊長の左手はグェントの黒い剣を掴んでいた。
その手は裂かれ、傷は手首にまで達している。
噴き出すように流れ出す血。
また右手には赤い鞘から抜かれた刀が構えられていた。
グェントの腹に突き立てられている刀。
うそだ……
グェントはゆっくりと目を閉じ、倒れこんだ。
それを隊長が支える。
グェントの腹から離された刀の先は平らで、血は一滴もついていない。
「…ルリス君……?」
放心状態…と言うのだろうか。
頭の中が真っ白で、今自分が目を開けているのか、息をしているのかどうかも分からなかった。
「ルリス!グェント!」
「貴一…」
「和乃 …これは……」
駆けつけてきた貴一さんはその場の状況をすぐに把握する事ができない。
小柄な隊長に支えられた見慣れない者。
「貴一、ルリス君を………」
隊長の表情が強張る。
鈍い音と血の臭い。
隊長は今まで支えていたグェントの体を突き飛ばす。
右手に持っていた刀を投げ出し、押さえた左の二の腕から血が噴き出した。
血は倒れたままの俺の服にも点々と落ちる。
「グェント君!」
「!」
隊長が呼んだ名前に貴一さんは目を見開いた。
グェントの指に絡みつく真っ赤な血液と黒い布。
再び召喚された黒い刀が視界に入り 一気に意識が引き戻される。
「和乃!」
振り下ろされたグェントの刀は深く地面を抉る。
貴一さんは負傷した隊長を抱え、大きく横へ避けた。
俺は反射的に起き上がり、召喚した武器で攻撃を防いでいた。
それを確認した貴一さんはその場に隊長を下ろし、背中に背負っていた鎌を構える。
隊長ももう一本残った刀を鞘から抜き、右手に構えた。
安定しないグェントの刀はゆらゆらと揺れている。
「3対1は卑怯やけど 許してや」

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