「ただいま」
18年間、ずっと変わらなかったつまらない日常。
途中クソ犬にかき乱されたが、それも奴がリゼンの狗に成り下がった時点で元通りだ。
つまらない学校の授業を終え、自宅のドアを開ければ
いつもの母親の笑顔と、ろくに食べもしないのに沢山作られた料理が待っている。
はずだった。

『グェ…ん…ト………』




一切躊躇いはしなかった。
靴棚の中に隠されている銃を手に取り、『かつて母親だったもの』に向け、発砲した。
『それ』が倒れた後も、装弾された銃弾が全て無くなるまで撃ち続けた。
恐怖も悲しみも抱かなかった。
次に俺が気づいた時には『それ』は息絶えていて、部屋中には『それ』の血液が飛び散っていた。
母親が俺の誕生祝いに準備していた料理も、俺自身も全て赤く染まっていた。






「銃を離してください」
それからすぐ後、俺は氷室和乃…、『スウィーパーの隊長』に連れられて
リゼンの中心部にあるスウィーパー隊本部へ来た。
服も髪も血に塗れたまま高級そうな革のソファに座らされる。
「どうしました?」
じっと自分の腕を見ていた俺に、氷室は声をかけた。
「……………」
手が凍りついたように動かない。
手だけじゃない、声すら、瞬きすらもできない。
思考が追いつかない。いや、まともな思考が停止してしまっているのか。
何が起こったのか理解しているのに、それを理解している自分を理解できない。



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