「はぁーぁ……」
ミシナの応急処置とリゼンの医療技術で見事クリスマスイブに復活。
だが傷痕は残りそうだし、まだ背中が痛くてたまらないぜ。
食堂で昼食中、大きなため息をつく。
「あの子が来なくなって寂しい?」
正面の席に座っていたミシナが言う。
「そんな事ねーよ」
あれからアイドルミシナは普通なら傷害、もしくは殺人未遂として罪に問われる所だが
医者を呼ぶまでの間もかなり反省している様子が伺えたし
ぼくとミシナが隊長に頼んで問題にしないようにしてもらった。
(後から貴一さんに聞いたのだが、被害を受けたのがスウィーパーだけだと
本人が1年以内に全治可能で、本人の意思で問題にしないと言った場合も罪に問わない場合があるらしい。
別にあんなに頭を下げる必要もなかったわけだ。)
ジャンパーのポケットに手を突っ込み、『ため息の原因』に触れるが
じっとこっちを見ているミシナに気付いてためらう。
何となく気まずくて横にあった誰かが置いていったであろう新聞を手に取る。と
「………はああああ!?いだだだ」
「何?」
新聞の一面にでかでかと書かれた文字……
思わず大声を出してしまい、背中の傷に響く。
「あいつって男だったのかよ!!」
トップアイドルミシナ暴露!実は男だった!
嘆くファン達!彼女…否、彼の今後の動きが気になる所!
「…ウソでしょ……」

「やっぱり気付いてなかったのか」
頭上から声が聞こえ、見上げると そこにはグェントの顔。
「はあ?お前、知ってたのか?!いつから!」
「最初に会った日から」
「教えろよ!!!」
「聞かなかっただろう」
今グェントと話してると元気がなくなってくる。
「小学生の頃、同級のスヴェルのクラスに居たぞ。まだ俺が怖いようだがな」
「………ええええ!?いたた」
「おま「グェントー、見つけたよぉぉ」
ぼくが話そうとした時、モッサリと埃をかぶったルリスが大きなアルバムを抱えて駆け寄ってきた。
「…ゴミ猫」
「グェントのせいだろ!」
思いっきり嫌そうな顔をしたグェントにルリスはガッと怒る。
あのアルバム…確かガキの頃にアマネさんが作ってたやつだ。
グェント、何もかもダリアティアに置いてきたのかと思ってたが 持ってきてたんだな。
ミ・ミが写真好きだったし、それもあるんだろうか。
グェントはルリスの手からアルバムを奪い取り、埃を掃ってページをめくり始める。
「埃!メシに入るだろ!」
手で扇いで防ごうとするがもう手遅れ。
「こいつだ」
グェントは一枚の写真を指差し、アルバムをぼくに差し出す。
「…………………うそ……」
この、風船みたいにコロコロに太ってるビン底メガネ。憶えてるぞ。
いつも休み時間にぼくらの教室の前の廊下に立っていて、好きな子でもいるのかなーとは思っていたが ウソだろ。
確かにこいつの名前はミシナだった…ような……今まで完全に忘れていた。
けど顔も体型もあの子と全然違うぞ。たまたま名前が一緒…とかじゃないのか…?
「すごい変わりよう…」
身を乗り出して見ていたミシナはぽかんと口を開いている。
信じられねェ
「つかホモかよ!」
色々問題ありすぎて一番大事(?)な事を忘れていた。
居たんだ、ぼくの身近に。しかもぼくに向けて。マジかよ。マジで?

「パティニャ君〜っ」

「来た!」
「うそっ!あんな怪我までさせておいて…!」
「もう諦めろ」
「………俺帰っていい?」


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